研究概要 |
本研究では,符号化開口による放射型CTを用いて,少数の投影データからRIの3次元分布を精度よく求める新しい方式を開発することを目的としており,これには,深さ方向の分解能向上が不可欠で,研究の主眼もこの点にある.ここでは,既に代表者らが考案してきた複数投影を用いる差動法,立体視法,最適フィルタ法などについて,これらを総合的に再評価して,分解能向上の方法を確立することを目的としている. 本年度は計算機シミュレーションに基づく評価を行うとともに,基礎的な小規模実験による実際上の問題点を明らかにした.主要な点を以下に記す. 1.複数投影利用の再構成アルゴリズムとして従来考案したアルゴリズムを中心に総合的に評価する.そのため,差動法,立体視法,最適フィルタ法について,計算機シミュレーションを用いてその性能を比較検討し,再評価を行った.評価の基準には点放射源に対する再構成像の分布(点像分布関数)を用いた.その結果,最も基本的なマッチトフィルタ法に比較して,これらがそれぞれ2〜3倍の分解能を実現できることが分かった.さらに,投影像の枚数を5枚にして最適フィルタ法を適用すると5倍まで高分解能化できる可能性が明かとなった.なお,今年度,翌年度の研究にも含めるべく,評価関数を拡張したり,さらには,対象に関する事前情報(放射の強度は正)による拘束条件を付加した2次計画法に基づく再構成アルゴリズムについても検討を開始した. 2.小規模な実験を実施してシミュレーション結果と比較を行なった結果,実現できた分解能は,シミュレーションより若干低くなることが判明した.前提条件が実験では一部満たされないことが原因であろうと考えている. 3.符号化開口に関しては,M配列を用いる場合とランダムパターンを用いる場合で結果に大きな相違のないことが分かった.
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