研究概要 |
新潟平野と東頚城平野のボーリング試料について、イライト化にともなう母岩の化学組成変化の関係について検討をおこなった。母岩の化学組成を測定するため、蛍光X線分析装置(XRF)を用い、主要10元素について化学分析をおこなった。分析する試料作成するため、科学研究費により購入したビ-ドサンプラー(東京科学KK)を用いた。 新潟平野ボーリング試料と東頚城ボーリング試料の砂岩と泥岩のイライト化とって重要であるSiO2,Al2O3,Fe2O3,MgO,CaO,Na2O,K2O,K2O/Na2Oについて深度に対する変化を見るため、地表からおよそ250mごとに砂岩と泥岩を選出し、化学分析をおこなった。新潟平野ボーリング試料のSiO2量は、およそ5000mを境に変化している。この傾向は、Al2O3量、Fe2O3量、MgO量についても同様である。一方CaO量、Na2O量、K2O量についても大きな変化は見られないが、K2O/N2O比は、砂岩と泥岩でほぼ一定で、3900m以深では砂岩のK2O/Na2O比が低くなっている。3900mの深度は西山層と椎谷層の境界に相当し、供給物の違いが想定される。 東頚城ボーリング試料では、砂岩と泥岩に違いによるSiO2量、Fe2O3量、MgO量の変化は見られない。砂岩と泥岩のAl2O3量は4500m付近で逆転し、CaO量、Na2O量とも、4000m以浅では砂岩の方が高いように見える。K2O量は、4000m以浅でバラつき大きいが、泥岩の方が高い。K2O/Na2O比については4000m以浅で砂岩と泥岩の違いが見られる。泥岩のK2O/Na2O比の最大値は深度が増すに従い、減少しているように見える。 しかしながら、東頚城ボーリング試料では、2000m付近から徐々にイライト化が進むが、化学組成の変化は見られず、イライト化は母岩の化学組成とは無関係に見える。
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