研究分担者 |
吉田 尚弘 富山大学, 理学部, 助教授 (60174942)
牛久保 明邦 東京農業大学, 農学部, 助教授 (60078219)
上田 眞吾 資源環境総合研究所, 大気圏環境保全部, 通産技官
高田 秀重 東京農工大学, 農学部, 助手 (70187970)
安部 喜也 東京農工大学, 農学部, 教授 (20101040)
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研究概要 |
石炭燃焼由来の汚染物質の長距離輸送を推定するため、内陸部の志賀高原(信州大学志賀実験実習施設)および太平洋側の東京(府中市東京農工大学農学部および八王子市波丘地実験実習施設)において大気降下物(降水と乾性降下物)の採取を月ごとに行い、硫酸イオンなど主要化学成分と多環芳香族炭化水素を測定した。 志賀高原における主要化学成分濃度は東京に比べ1/2〜1/4の小さい値であった。主な成分の年平均値(mg/l)は次のとおりであった。硫酸イオン:志賀高原;0.88,府中;1.90,波丘地;1.52、硝酸イオン:志賀高原;0.58,府中;2.34,波丘地;1.81、塩化物イオン:志賀高原;0.53,府中;1.97,波丘地;1.30、アンモニウムイオン:志賀高原;0.20,府中;0.41,波丘地;0.40。志賀高原で硫酸イオンは7月に最大値が、11月に最小値が認められたが、硝酸イオンは6〜8月に小さく、12月から4月にかけて大きな値が認められ、府中での結果と異なる傾向であった。また、硫黄安定同位体比測定システムがほぼ出来上がり、標準物質について満足すベき結果が得られている。 多環芳香族炭化水素のなかで化石燃料の燃焼由来と考えられる9種類の合計は志賀高原で4.0〜15.1μg/m^2/月であり、府中(26〜49μg/m^2/月)や波丘地(17〜48μg/m^2/月)に比べ1/3〜1/4程度であった。フェナンスレンに対するメチルフェナスレンの比は0.5〜0.9であり、燃焼温度が高く、遠方の工場など固定発生源からの影響を受けていると考えられる。
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