平成6年度は本研究の2年目に当たり、順調に研究を遂行することができた。まず放射化分析法を用いて、主として南極隕石中の微量親鉄元素を系統的に分析した。その結果、南極・非南極隕石間に組成上の相異が認められた。このことは両隕石群の由来する母天御が異なるためであろうと解される。又元素間の相対的存在度の考察から、現在公表されている太陽系の元素存在度に一部修正を要する箇所のあることが指摘された。一方、ICP-算量分析計を隕石の分析に用いる試みは順調にすすみ、希土類元素、トリウム、ウランの分析が可能となった。その結果、コンドライト隕石で約10mgの試料量で高精度の分析値が得られた。いくつかの隕石に関して分析を行ったところ、上記の元素の存在度の太陽系存在度に再検討を要するところのあることが判った。
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