本研究では、まず溶液中の溶質分子を原子あるいはフラグメントの集合体であるとし、それらの相互作用ポテンシャル(フラグメントポテンシャル、FP)を非経験的分子軌道法を用いて量子力学の第一原理から求め、それを簡単な関数系でフィットし、マクロな効果を含まない2体ポテンシャルを求めることを目的とした。 FPを求める前に、溶液中のホルムアルデヒドの構造変化やダイポールモーメントの変化を定性的に見るために、すでに松岡等によって報告されている水のポテンシャルを用いて、超臨界状態と言う特異な状態の水溶液中におけるホルムアルデヒド分子の構造変化を計算した。ホルムアルデヒドの水溶液を調べた理由は、すでに広く利用されている水のポテンシャル(MCY)があったことと、ホルムアルデヒド分子は大きなダイポールモーメントをもつので、溶媒和によるホルムアルデヒドの分子構造などの変化が大きく出ることを期待したためである。繰り込む水分子を増やしていくと徐々に結合距離、ダイポールモーメントともに増加していき、ある一定値に収束することがわかった。 また状態の変化を定量的に見積るために、巨大次元の状態密度を計算するプログラムを開発し、ネットワークで結合された簡単な並列計算環境で実行させたところ、スーパーコンピュータに匹敵する性能を発揮した。
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