本年度はまず8-27GHz領域での分光実験を進めた。とくに、パルスノズルの先端に高圧をかけて放電をおこすことができるようにし、通常の安定分子の他、フリーラジカルのスペクトルも感度よく測定することができるようになった。フリーラジカルのスペクトルは地磁気で分裂するので、地磁気を打ち消すよう3方向のヘルムホルツコイルを用意した。このシステムを用いることによって環状C_3Hラジカルの1_<10>-1_<11>遷移(15GHz)を良いS/Nで測定できることがわかった。このことから新しい星間分子関連のフリーラジカルの探査に大きな可能性を持っていることがわかった。 低い周波数での測定とともにミリ波への拡張を進めた。ファブリーペロ-共振器との結合を広い周波数範囲にわたって良好に確保することが難しく、一応の動作の確認を行なった段階に止まっている。実用的な分光器として確立するには、この問題を解決する必要があるが、カップリングホールの形状を詳細に工夫することで、克服できる見通しが得られている。
|