研究概要 |
平成6年度の計画であったバイプレンマー1の合成,1の固相の熱力学パラメターの収集,1の化学発光の測定は一応予定通り完了した。この結果1の固体状態での逆[4π+4π]型光付加反応のルートは二つあり,一つは発光には至らない溶液中のものと同じもので,もう一つは150℃以上で生成物からの発光をもたらすものであった。今回示差熱分析の手法を使って,どうにかその熱力学的なパラメターを決めることに成功した。化学発光をともなう過程の△Sは比較的大きく,イオン解裂もしくはラジカル的な解裂過程を示唆する新しい分解過程の存在を確認した。特に励起状態エネルギー面に起きる問題をMichlモデルをエネルギー障壁の大小の問題に置き換えて考えるとうまく説明できることを明らかにした[Bull.Chem.Soc.,66,2203-2212(1994)]。またロフィン系化学発光系を使い基底状態エネルギー面から励起状態エネルギー面への移動効率が電子移動効率に深く係わっていることを明らかにした(1994,10月(筑波大)酸化反応討論会)。バイイプレンマーを通じて光及び熱反応の断熱課程,非断熱課程の実態に迫り,新しい光り反応を見いだした(VIth IUPAC Symposium onPhotochemistry,1994 July,チェコ,プラハ;XIV回フッソ国際会議,1994,8月,横浜。さらにcyclobuta[b]pyroles2の熱および光反応について検討した[Heterocycle,1994,769-778;J.C.S.,Perkin Trans.1,1994,1753-1757].
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