クロロエチレン類の紫外光分解の研究を行い、生成する塩素原子の空間分布を、共鳴多光子イオン化二次元画像観測法によって撮像した。そして、塩素原子の速度、角度分布の解析から、解離には基底電子状態と励起電子状態を経由する二つの経路が存在することや、その分岐比に強い波長依存性があることを見いだした(Journal of Physical Chemistryに発表)。さらに、散乱分子の空間分布を直接断層撮影するレーザーシート断層撮影法を開発し、NO_2の紫外光分解によって生成するNOや酸素原子の分布の撮影に成功した(Chemical Physics Lettersに発表)。これにより、雑音に敏感な数値変換法を断層像の撮影に使う必要がなくなった。次に、H_2SやHIの光分解によって、35nsのパルス幅を持つ単色性の高いパルス水素原子線の発生に成功した。1次元光飛行時間分析、2次元画像観測によってその速度、角度分布の測定を行った。水素原子をLyman αの遷移で高感度に検出するため、3倍波発生あるいは共鳴4光波混合を用いた真空紫外レーザーを開発した。
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