平成5年度及び平成6年度における研究成果は下記の通り。 1.Nd:YAGレーザを用いて表面光第二次高調波発生(光SHG)の観測システムを構築した。その際、ゲート積分器を用いた計測システムを新たに開発し、アナログ的な積算光計測から微弱光検出に必要な光子計数までをカバーすることが可能となった。この計測システムによりダイナミックレンジの広いSHG測定が可能となった。 2.雲母基板上に液晶単分子膜を蒸着し、光SHGで配向姿勢を決定したのち、雰囲気を乾燥窒素からエチレングリコールへと変化させ、確かに単分子膜の方向角が変化していることを確認した。この実験により、雲母基板上で観測される液晶バルクの配向転移は界面が引き起こす短距離相互作用型であることが確認された。 3.偏光軟X線吸収分光を用いた界面分子配向探査を表面光SHG法と組み合わせることにより、複雑な系での液晶分子配向挙動を決定することができた。即ちポリイミド薄膜におけるイミド環を含む剛直な芳香環の傾き角を、偏光軟X線吸収分光により決定した後、光SHG法によりポリイミド薄膜上での液晶分子の配向方向を決定した。両者の間には明らかに相関があり、液晶分子の吸着部位を決定することができた。
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