ポリメタクリル酸をブラシ状に並べた層について、高分子電解質層のイオン化塩効果、2価イオンによる橋かけ効果等による膜の構造変化を明らかにした。さらに、分子内にイオン性の官能基とともに水素結合性基を持つポリグルタミン酸を親水基とする長鎖アルキル界面活性剤のLangmuir-Blodgett(LB)膜で雲母基板を修飾し、ブラシ状のポリグルタミン酸層を形成した。この単分子膜では、累積時の表面圧を変えることにより、α-ヘリックスやβ-シート等の異なる2次構造を多く含む膜が調整できることがすでに定性的にわかっていた。さらに定量的な評価のために、LB膜のFT-IRスペクトルにおけるそれぞれの2次構造体の帰属を明らかにし、透過ならびに反射スペクトルの強度からその配向を決定した。また表面力直接測定により、それぞれの2次構造に特徴的な表面の相互作用があることがわかった。これはα-ヘリックスは変形しやすく、一方β-シートはほとんど圧縮されないとして理解される。現在同システムについて研究を展開すると共に、原子間力顕微鏡による表面の観察、表面力の評価の研究も進めている。
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