1.ポリメタクリル酸をブラシ状に並べた層について、表面力直接測定により高分子電解質層のイオン化、塩効果、2価イオンによる橋かけ効果等による膜の構造変化を明らかにした。 分子内にイオン性とともに水素結合性基を持つポリグルタミン酸を親水基とする長鎖アルキル界面活性剤のLangmuir-Blodgett(LB)膜で雲母基板を修飾し、ブラシ状のポリグルタミン酸層を形成した。この単分子膜では、累積時の表面圧を変えることにより、α-ヘリックスやβ-シート等の2次構造を多く含む膜が調整できることがすでに定性的にわかっていた。定量的な評価のために、LB膜のFT-IRスペクトルにおける2次構造体の帰属を明らかにし、透過ならびに反射スペクトルの強度からその配向を決定した。また表面力直接測定により、それぞれの2次構造に特徴的な表面の相互作用があることがわかった。その変形のしやすさを定量的に示すポリペプチド1分子層の圧力弾性率を得た。イオン化した伸長鎖については、0.2〜0.6MPa、水素結合性の配向した2次構造ではこれから1桁から2桁大きくなる。高分子1分子層の圧縮弾性率を世界ではじめて求めた例である。 3.原子間力顕微鏡による表面力測定が可能となり、電気二重層力を測定している。 4.たんぱく質の雲母上への吸着状態をFT-IRと原子間力顕微鏡で観察する手法を確立した。
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