研究概要 |
均一な固体表面に物理吸着した気体分子は低温で2次元凝縮を行う.その結果,理想に近い2次元系が個体表面上でできる.本研究では,固体表面としてグラファイトを取り上げ,こうしてできた吸着膜の2次元固相を対象とする。 今年度は先ず, 1.粉末X線回折装置を購入し,単分子吸着膜のX線回折実験が低温で行えるシステムを製作,整備した. 2.測定システムを制御し,結果の解析を行うためのコンピュータ,および低温実験を行うためのクライオスタットを別途購入し,整備した. 続いて, 3.予備実験として,昇華性の球形分子であるアダマンタン,C(SCH_3)_4,D-ショウノウの単分子膜をそれぞれ作成し,室温および80KにおいてX線回折実験を行った. 4.その結果,アダマンタン単分子膜は低温で2次元の固相間転移を起こすこと,C(SCH_3)_4単分子膜は室温では2次元液体であることなどを見いだした. 5.最終目的である単分子膜の構造解析を行うには,バックグラウンドの低下を図る必要があることが明かとなった.そのため次年度には,回折側にモノクロメーターを設置することを計画している. 6.また,室温で気体もしくは液体の試料で実験が可能となるように,ガスハンドリングシステムも製作中である.
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