| 研究概要 |
1.リン脂質二分子膜-麻酔作用の圧拮抗メカニズムを明らかにする目的でリン脂質二分子膜の相転移温度におよぼす麻酔薬と圧力の影響について調べた。膜の相転移を熱力学的束一性から解析し,麻酔薬の膜への分配におよぼす圧力効果を推算した。加圧は麻酔薬を膜から押し出し,加圧による覚醒が熱力学的に説明できる。また,局所麻酔薬の添加により加圧下でリン脂質二分子膜の新しい相状態が誘起されることを確認した。
2.吸着単分子膜とミセル-表面張力法と密度測定法により局所麻酔薬の界面吸着を熱力学的に解析し,吸着膜における麻酔薬分子の挙動を明らかにし,膜中での分子間相互作用について解析した。また,膜形成物質と膜作用性物質のモデル系として界面活性剤-局所麻酔薬の混合系におけるコアゲル-ミセル転移を熱測定法により解析し,ミセル中およびコアゲル中での両者の混合特性を明らかにした。
3.ミトコンドリアのエネルギー代謝-低酸素細胞の放射線感受性を選択的に高める放射線増感剤として数種類の2-ニトロイミダゾール誘導体を合成し,低酸素腫瘍細胞に対する殺細胞効果および放射線増感効果の評価を行った。
4.麻酔薬選択性電極-6種類の局所麻酔薬に選択的に応答する小型の被覆線型電極を開発し,局所麻酔薬のリン脂質二分子膜への結合挙動を調べた。二分子膜の相挙動と対応して膜への分配係数は変化し,ゲル状態に比ベて液晶状態への分配係数は著しく増大した。
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