研究課題/領域番号 |
05453061
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物質変換
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
安藤 亘 筑波大学, 化学系, 教授 (30008429)
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研究分担者 |
崔 奈美 筑波大学, 化学系, 助手 (30251036)
加部 義夫 筑波大学, 化学系, 講師 (40214506)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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キーワード | ピシクロ[1.1.1]ペンタン / カルコゲン / スルースペース相互作用 / シラビシクロ[1.1.1]ペンタン / 立体圧縮効果 / [1.1.1]プロペラン |
研究概要 |
ビシクロ[1.1.1]ペンタンの架橋原子を電気陰性度の大きい元素に置換すると、橋頭位原子間に結合がないにもかかわらず、原子間距離が単結合と同程度か、それ以上に短くなり、その構造は対応する[1.1.1]プロペランに極端に近づくことが理論計算により予測されている。本研究において、非常に崇高いトリストリメチルシリルメチル基を用いることにより橋頭位にケイ素を有するポリカルコゲナジシラビシクロ[k.l.m]アルカン誘導体及びそのゲルマニウム類似体の合成に成功した。また、これらの脱カルコゲン化反応を検討することにより、目的のトリチアジシラビシクロ[1.1.1]ペンタンとトリセレナジシラビシクロ[1.1.1]ペンタン及びそのゲルマニウム類似体の合成に成功し、その構造についてもX線結晶解析により明らかにできた。それら結果より、ケイ素-ケイ素原子間距離は、セレンでは2.515Åであり、硫黄では、2.407Å、又、トリセレナジゲルマビシクロ[1.1.1]ペンタンのゲルマニウム-ゲルマニウム結合距離は、2.672Åになっていることがわかった。これらの値は、橋頭位原子間に結合がないにもかかわらず、通常の単結合距離にほぼ匹敵するものであった。更にこれらの^<29>Si及び^<77>Se-NMRを検討することによりカルコゲン原子間のスルースペース相互作用に由来する立体圧縮効果が観測された。又、紫外可視吸収スペクトルにおいても、カルコゲン原子間のスルースペース相互作用に起因する吸収が観測された。以上の結果より、トリカルコゲナシラビシクロ[1.1.1]ペンタンにおける橋頭位原子間の異常な結合距離の短縮は、架橋原子間の電子的反発に由来するものであることが判った。
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