研究概要 |
高圧条件下での有機化学反応開発に関する研究で得られた本年度の成果について,以下にまとめる。 【.encircled1.】エポキシ化合物のアミノリミスは通常ルイス酸触媒や強塩基の使用を必要とするが,高圧反応を用れば,無触媒でも中性条件下できれいに反応が進行し対応するbeta-アミノアルコール誘導体を与えることがわかった。 【.encircled2.】上記研究に関連して,シリカゲル共存下でのアミノリシスの位置選択性の逆転,シリカゲルに吸着させたドライな条件でも同様の反応が進行する事実を見つけた。 【.encircled3.】樹脂酸の一つレボピマル酸は異性化しやすく通常の条件下ではうまくDiels-Alder付加物が得られないことが知られているが,高圧下ではきれいに進むことがわかり,付加物のNMR,X線解析によりその絶対構造を明らかにすることができた。 【.encircled4.】生理活性天然物AI-77-Bの合成研究に関連して,必要な官能基を有するヒドロキシアミノ酸部を立体選択的に合成し,その等価体が高圧条件下ほとんど定量的にアミノリシスを起こし対応するアミド化合物を与えることを見つけた。 【.encircled5.】以上の合成手法が今後天然物合成・機能性物質開発の有力な手法になる。
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