ZnOバリスタは、急峻な電圧-電流特性と大きなサージエネルギー吸収能力を利用して保護素子に用いられている。バリスタは、電気回路にパラレルに接続されるので、微弱なリ-ク電流が流れ、その大きさはバリスタの劣化とともに増加し、熱暴走につながる。本研究では、劣化現象とトラップ準位との関係をICTS法を用いて調べた。劣化前には二つの粒内準位と界面準位が検出された。劣化後には界面準位のトラップセンターはより伝導帯に近づき、トラップ密度も減少し、分布の形は単一的なものからブロードなものへと変化した。このような界面準位の変化が電圧-電流特性の非直線性の低下、すなわち劣化の原因となることが解明できた。 キュリー点において比抵抗が急激に上昇するBaTiO_3PTCサーミスタはヒーター、安全回路等として利用されている。本研究では、アクセプター(Mn)及びドナー(Sb)を添加したBaTiO_3においてO_2-HIPによる高い酸素分圧雰囲気での熱処理により、アクセプター準位密度が増加し、さらにアクセプター準位と伝導帯下端とのエネルギーギャップも増加することを見いだした。また、この結果に基づいて、現象論的PTCRモデルと現象論的PTCRチャートを提唱した。 積層セラミックコンデンサとして有望なリラクサ誘電体PMN(Pb(Mg_<1/3>Nb_<2/3>)O_3)の粒子と粒界の電気的性質を分離して評価する方法の確立を目指し、高温におけるインピーダンス解析法の適用を試みた。低誘電率相(パイロクロア相)が多く生成しているPMNに対して適用したところ、パイロクロア相が関与していると思われる新たなキャパシタンスが粒子と電気的に直列に存在していることや、それによる誘電率の大きな減少が確認された。
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