カリ明礬-水系での成長速度の促進効果を従来の方法(微細結晶の発生前後について観察用結晶をビデオカメラで撮影し、成長量を計算)によって確認した。このとき同時に測定した溶液濃度の変化から微細結晶の発生と同時に溶液濃度が低下することを定量的に明らかにした。これにより、微細結晶の発生で溶液の過飽和度が低下するにも関わらず、成長速度が増加するという現象が明らかになりつつある。本年度、新たに微粒子測定装置(COULTER・MultisizerII)を設置し、成長促進に関与する微細結晶のサイズを同定するために以下の手順で実験を行った。(1)本研究で要求される条件下で使用するための電気的ノイズ対策と観察用セルの設計。(2)微粒子測定装置と計算機とのデータ通信及び数値処理方法の確立。(3)核の発生方法の違いによる微細結晶の粒径分布の差異。(4)食塩-水系について発生する微細結晶の大きさと数、及びそれらの経時変化の測定。以上の実験の結果、(1)核の発生方法の違いによって、微細結晶の粒径分布には違いが認められ、結晶成長促進効果の違いを説明できる可能性が示唆された。(2)成長の促進には発生後間もない核が関与していることが推測された。今後、本年度中に行う1μm以下の粒子の測定により、成長促進に関与する微細結晶のサイズを定量化し、成長機構の裏付けが行えるものと期待している。
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