研究課題/領域番号 |
05453100
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
橋本 健治 京都大学, 工学部, 教授 (20025919)
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研究分担者 |
向井 紳 京都大学, 工学部, 助手 (70243045)
河瀬 元明 京都大学, 工学部, 助手 (60231271)
増田 隆夫 京都大学, 工学部, 助教授 (20165715)
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キーワード | ゼオライト / 膜 / 高度分離 / 反応・分離 / 水熱合成 / セラミックフィルター |
研究概要 |
ゼオライトはアルミノ珪酸塩の結晶であり、0.数nmの径の細孔を持つ。そのため、高い分子篩能を示し、触媒や吸着剤として幅広く用いられている。しかし、従来、0.数〜数μmの結晶粉末として合成されてきた。これらゼオライトを膜状に合成することで高い分子篩能を有する分離膜を開発することが出来る。そこで、本研究では分子篩能を有するゼオライト膜の合成を最終目標として研究を行い、平成5年度として以下の研究成果が得られた。 (1)セラミックスフィルターの外表面へのゼオライト膜の形成:吸着分離用のA型ゼオライトと触媒用のZSM-5ゼオライトを膜状に合成した。担体としてのフィルターには4種類の物質を用いたが、アルミナが最も好ましい異が分かった。また、合成条件は通常の条件とは異なり、特にシリカ源とアルミナ源は結晶粉体の場合と異なった。最適条件で合成を行った結果、10〜20μmの厚さで緻密なゼオライト膜を合成することに成功した。 (2)ゼオライト膜の拡散速度と吸着特性の測定:ゼオライト結晶粉体を用いて、4種類のパラフィンと4種類の芳香族の拡散速度を定容法により温度373〜773Kの範囲で測定した。その結果とゼオライト膜中の炭化水素の透過係数から、ゼオライト膜中のゼオライト被覆率を測定した。被覆率は99%の高い値であった。しかし、完全な分子篩能を示すためには、被覆率が99.999%必要であり、平成6年度は被覆率の向上について研究を行う必要がある。ゼオライト膜への吸着熱を熱量計により測定した。吸着熱は数kJ/molと小さく、分離膜として使用する際の操作温度は幅広くできることが分かった。 (3)ゼオライト膜の分離特性の評価:5種類の無機ガスと1種類の炭火水素について透過速度を測定した。径が数nm、数10nmと数100nmの微細な欠陥細孔を有するため、クヌッセン拡散以上の分離能は得られなかった。平成6年度はこれら微細な欠陥を除去する研究が必要であることが分かった。
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