Mg-Al型、Zn-Al型、Ni-Al型など層の元素ならびに組成を変化させた層状複水酸化物LDH(ハイドロタルサイト)を合成し、この層間にMo、Wのヘテロポリ酸イオンをインターカレートした材料を合成した。Zn-Al系のハイドロタルサイト類似LDHにはケイタングステン酸アニオンは挿入が困難であることが分かったが、Al/Zn比を小さくすることにより、挿入物を合成することに成功した。Mg-Al型に比べてZn-Al型はヘテロポリ酸イオン挿入時のpH条件での安定性に優れていた。Zn-Al層間に挿入したヘテロポリ酸イオンの構造をSiW_<12>、SiW_<11>、SiW_9と変化させたものを合成し、層間中での構造をIRから推定した。SiW_<11>が層間に入ったものは過酸化水素を酸化剤としたオレフィンのエポキシ化の良好な触媒であることが分かった。一方、SiW_<12>が入った触媒はアルデヒド-酸化系による酸化に有効で、過酸化水素を酸化剤とした場合には活性が低かった。また、ヘテロポリ酸の配位子をVで置換した混合配位子とすることにより、アルデヒド-酸素系による酸化の活性が向上した。一方、Ni-Al型の層を有するLDHは層間にポリ酸アニオンを入れないものでアルデヒド-酸素系を酸化剤としたオレフィンのエポキシ化活性を示した。このように層自身に活性金属を導入することにより、層-層間の二元機能的な触媒作用を賦与し、新しい触媒反応に展開できることが示唆された。
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