研究概要 |
アルミニウムワイヤーを陽極酸化し、その表面に多孔質アルミナ膜を生成することができた。また、アルミナ膜中の細孔構造、特に、細孔径と細孔深さについては、陽極酸化時の負荷電圧や電流密度、酸化時間を調整することにより、任意に制御することが可能となった。陽極酸化後のアルミニウムワイヤーの両端に電圧を負荷することにより、300℃程度まで瞬時に昇温することもできた。 アルコキシド法により調製したニッケル/エチレングリコール溶液中に、陽極酸化したアルミニウムワイヤーを浸漬して、アルミナ膜の細孔中にニッケル金属微粒子を析出することができた。このワイヤーの両端に電圧を負荷して加熱し、1-ブテンの水素化反応を試みた。細孔中にニッケルを含有するアルミニウムワイヤーでは触媒作用が発現し、水素化によるブタンの生成が観測できた。これらの成果は、現在、JCS Faraday Trans.で印刷中である。 一方、このワイヤー触媒では瞬時に加熱できることから、コールドスタート時における自動車排ガス浄化触媒システムへの応用を計画している。そこでは酸化セリウム微粒子をアルミナ膜の細孔中に析出させる予定であり、その準備として並行して行っていた研究(酸化セリウムの構造と触媒作用)も完成した。これはBull.Chem.Soc.Japan,66,1279-1288(1993)に発表した。
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