研究課題/領域番号 |
05453122
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
甲斐 泰 大阪大学, 工学部, 教授 (40029236)
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研究分担者 |
金久 展子 大阪大学, 工学部, 助手 (20177538)
原田 繁春 大阪大学, 工学部, 講師 (80156504)
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キーワード | 二酸化炭素固定 / リブロースビスリン酸カルボキシラーゼ / 結晶構造解析 |
研究概要 |
現代文明がもたらす過度の二酸化炭素放出から地球環境を守るために、新しい科学技術の開発が求められている。二酸化炭素固定の技術には生物的固定と化学的固定の両面から考えられなければならないが、本研究では生物的固定の工学的利用をめざす基礎となる研究を進める。本研究の対象は、ホウレンソウ等のC3植物の光合成において二酸化炭素の固定を触媒するリブロースビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(RuBisCO)とトウモロコシ等のC4植物において同様の機能を有するホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(PEPC)であり、これらの結晶構造解析をX線回析法によって行うことにより、その構造-機能相関を解析することである。 ホウレンソウのRuBisCOは従来硫酸アンモニウムで精製されたものが良く研究されており、すでに2.4A分解能の構造解析が報告されているが、最近の研究では硫酸アンモニウムで精製された酵素に比べポリエチレングリコール(PEG)で精製されたものはネイティブ酵素により近い反応性を示し、基質結合部位以外に活性制御部位の存在することが示唆されている。 本研究の平成5年度の特筆すべき成果は、ホウレンソウのRuBisCOをPEGを用いて精製し、これまでにない良質の単結晶を得ることが出来た点である。結晶学的データの決定を行い、すでに2.5A分解能の回折強度を測定した。蛋白質データバンク(PDB)に登録されている硫酸アンモニウムで精製されたホウレンソウのRuBisCOの構造を用いて分子置換法で構造解析を進めたところ、構造解析に成功した。現在、さらに高分解能のデータ測定を行い構造の精密化を進める予定である。また、光合成細菌Chromatium vinosumのRuBisCOについては、すでに結晶化を行っており、同様の研究を進める。タイプの異なる二種の二酸化炭素固定化酵素の構造-機能相関の解析を基に、その工学的利用をめざしたい。
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