研究概要 |
ポリエチレングリコールで精製、結晶化したホウレンソウRuBisCoについては筑波高エネルギー物理学研究所放射光実験施設で高分解能の回折強度のデータ測定に成功した。それによって得られたデータを用いて構造解析を行った結果、2.0A分解能で結果学的信頼度因子R=19.0%という精度での立体構造が得られた。得られた構造を、すでに2.4A分解能での解析が報告されている硫酸アンモニウムで精製結晶化したRuBiscoの構造と比較したところ、酵素活性を調節すると報告されたリジン残基の構造に違いが確認された。 また、大腸菌PEPCについては、我々のこれまでの研究で結晶化の方法を確立しており、六方晶系のもの(P622,a=131A,c=325A)と斜方晶系のもの(I222,a=119A,b=252A,c=83A)とがあるが、斜方晶系の方が構造解析に適している。そこでNative結晶について回折強度測定を理学電気社製RAXIS-IICを用いて行い、3.41A分解能までの独立な反射9476個(収率87.6%)をRmerge7.43%という精度で測定した。引き続き構造解析に必要な重原子同型置換体結晶の作成を行っており、重原子同型置換体結晶が得られれば、X線回折強度を測定し、Native結晶のデータとあわせて構造解析する。また、単位格子が大きいことおよび迅速測定が可能であることから、放射光をりようしてNative結晶及び重原子同型置換体結晶のX線回折強度測定を行う予定である。
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