現在の光記録としては光磁気や相変化型の光メモリー方式が主として開発されているが、これらの光メモリーは、スポットの1点を1ビットとしているため、アクセスする半導体レーザー光の回折限界の1μmが記録密度の上限を決めており、その最大値は10^8ビット/cm^2である。これに対し、PHB光メモリーはスポットの一点に種々の周波数をもった光で書き込みや読み込みができる周波数多重型なので、従来のものより、1000〜1万倍の記録密度の向上がはかれる。現在、DHB光メモリーとしては有機色素をドープした高分子材料の開発が一般的であるが、ホールが定温では形成されず、そのために動作温度は80K以下の極低温に制限されている。ところが、研究代表者らは、サマリウムイオンを2価の状態で酸化物がガラスにドープすることに成功し、その結果、室温でPHB現象が生じることをはじめて見出した。このホールは永続的であり、綿幅が広いことを除けば応用への可能性が十分期待できる。そこで、多くのガラス組成を対象に線幅をいかに狭くすることができるかの検討を行った。結果として、Al_2O_3を数モル%導入することにより、ホウ酸塩ガラス中のSo^<2+>のホール中を1/10以下にすることができた。これはAl-O結合がB-O結合を束縛することにより、Sn^<2+>の配位子をフリーな環境にすることができたためと考えられる。以上により、本研究により、室温で多重度が100〜200のホールバーニング材料を作製することができた。
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