プラズマCVD装置の納入が製造会社の社内事情により、予定時期の平成5年10月中旬から大幅に遅れ、平成6年1月に納入された。現在、納入後の一か月間程の装置の性能テストを終了し、CVD薄膜合成の準備段階に入っている状況である。しかし、装置の納入の遅れの間、ただ腕をこまねくのではなく、プラズマCVDにより合成する希土および重金属の薄膜フッ化物と、他の方法により合成された希土および重金属の薄膜フッ化物との物性や構造の比較検討を行う意味で、プラズマCVD法による合成が計画されているZrF_4-BaF_2-LnF_3系ガラス(Lnは希土類元素)について、溶融法および(ゾル-ゲル)・フッ化法の二法によるガラス合成とその物性・構造の研究を進めた。溶融法による研究では、60ZrF_4・30BaF_2・10LnF_3ガラスの合成を可能にし、そのガラスの熱的、機械的、光学的、電気的特性を明らかにした。その研究結果は論文発表にまでの成果を収めた。一方、(ゾル-ゲル)・フッ化法による研究では、Zr有機錯体とBa有機錯体を出発試薬とし、ゾル-ゲル法による薄膜酸化物ゲルのプレカーサーの合成および、そのプレカーサーのHFおよびNF_3のフッ化ガスによるフッ素化反応により、ZrF_4-BaF_2系ガラス薄膜の合成に成功した。そして現在、その物性・構造を明らかにしつつある。なお、この研究結果も学会発表されるまでの成果を収めるに到っている。
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