研究概要 |
(I)マイクロ波ECR(電子サイクロトロン共鳴)プラズマCVD装置の制作 本研究を実施するに際して、利用可能な装置の市販品が無いため、研究に適した装置の設計・試作から開始した。仕様において主な特長点を記すと、マイクロ波の発振周波数と発振力:2.45GHz,最大1000W、基板面積:20×20mm、基板保持台温度:水温〜200℃、ガス供給系:Ar,O_2,SF_6の3系統、固体モノマー導入系:4系統などである。 (II)マイクロ波ECRプラズマCVD用の希土類元素および他の金属元素の揮発性錯体の開発・合成 マイクロ波ECRプラズマCVDに利用可能な希土類元素および他の金属元素の揮発姓錯体に対する必要条件は、出来る限り低温において分解せずに揮発し、かつ各種金属錯体がほぼ同じ温度域でモノマーとして揮発することである。本研究では、そのような条件を満たす錯体としてβ-ジケトン錯体を探索した。 (III)マイクロ波ECRプラズマCVD法による希土類含有フッ化ガラス作製 最初に、Zr金属のβ-ジケトン錯体であるZr(HFA)_4とBa金属のβ-ジケトン錯体であるBa(DFHD)_2を出発試薬とし、SF_6フッ素化ガス、Arをキャリアーガスとして用い、ZrF_4-BaF_2系薄膜(厚さ:数μm)の合成を試みた。なお、基板としてはCaF_2を用いた。生成物を薄膜X線解析で調べたとところ、完全な非晶質体であった。組成分析は行っていないが、溶融法で合成されたZrF_4-BaF_2系ガラスのX線解析パターンとの比較から67ZrF_4・33BaF_2に近いものが得られていると考えらている。 現在、希土類を含有したZrF_4系ガラス薄膜の作製に取り組みつつあるが、一番の問題点は気化温度域が極力近い各種金属のβ-ジケトン錯体の探索である。DPM錯体が好ましいのではないかと考えており、検討を進めている。
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