1)シクロデキストリン(CD)誘導体の合成と表面修飾:リポ酸を導入したCDを合成し、電極表面にCD単分子膜を形成した。このCD単分子膜はフェロセンを透過させ、他のゲストの共存により、フェロセンの透過制御が可能であることが判明した。次に、金電極表面へのアンカーとしてのリポ酸とフェロセンを同時に置換したCDを合成した。これらの化合物を自己集合膜として表面修飾に利用することを検討している。 2)光応答性人工脂質の合成と表面修飾:光応答性残基としてアゾベンゼンを含有する人工脂質を合成し、LB膜法による表面修飾とLB膜中での光応答特性を検討した。側鎖を二本有するアゾベンゼン脂質は、対応する一本鎖脂質に比較して、LB膜としての製膜性にすぐれ、また、アゾベンゼンの光異性化反応も比較的良好に進行した。さらに、クラウンエーテルを有する光応答性人工脂質を合成し、LB膜法により固体表面の修飾と光およびイオン応答性を検討した。LB膜中でもクラウンエーテル部位は、選択的なイオン結合特性を示し、光応答性もすぐれていた。 3)アビジンは金属電極表面にほぼ単分子層の表面薄膜を形成することを見出した。このアビジン修飾表面にビオチン標識酵素を作用させると、アビジンはビオテン部位を特異的に認識し、表面に酵素分子が単分子層を形成することが明らかになった。また、この操作をくり返すことにより、タンパク質累積膜を形成することも可能であり、酵素電極の性能向上に有用であった。
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