研究概要 |
高活性HMG-CoA還元酵素阻害剤NK-104の高選択的合成法を検討した。まず、光学活性鍵中間体(3R,5S)-3,5-イソプロピリデンジオキシ-6-ヘプチン酸tert-ブチルを3通りの方法で合成した。すなわち、(1)安価な光学活性源である酒石酸ジエチルを(3S)-1-(t-ブチルジメチルシリル)-3,4-エポキシ-1-ブチンに導き、シアン化水素の付加、生じたニトリルへの酢酸t-ブチルの付加、加水分解、ジアステレオ選択的シン還元による方法、(2)3-ケト-4-ペンチン酸メチルのパン酵母による不斉還元を利用する方法、(3)3,5-イソプロピリデンジオキシ-6-ヘプチン酸を分割する方法である。こうして合成した(3R,5S)-3,5-イソプロピリデンジオキシ-6-ヘプチン酸t-ブチルをクロロジメチルシラン/白金触媒でヒドロシリル化(あるいはジシアミルボランでヒドロホウ素化)して、対応する7-シリル(あるいはボリル)-6-ヘプテン酸エステルへ高選択的に変換した。これらビニル金属化合物とハロゲン化アリールとのパラジウム触媒によるクロスカップリングを効率よくおこなわせることに成功し、対応する7-アリール-6-ヘプテン酸エステルを収率よく得た。さらにこれをトリフルオロ酢酸処理により、目的物NK-104を得た。
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