研究概要 |
微細加工用の感光性ポリイミドの開発を目的に、ポリマーマトリックスとしてポリイソイミドに着目し、光反応性の溶解抑制剤または促進剤、光塩基発生剤の組み合わせによるレジストの特性について検討を行った。まず、4,4′-ヘキサフルオロイソプロピリデン(ビスフタル無水物)と4,4′-ヘキサフルオロイソプロビリデンビス(p-フェニレンオキシ)ジアニリンの開環重付加反応によりアミド酸を合成し、これをトリフルオロ酢酸無水物-トリエチルアミンで処理しポリイソイミドを得た。これに溶解抑制剤として、ニフェジピン(DHP)を20wt%加えたレジストは、感度450mJ/cm^2、コントラスト(γ)2.5のポジ型パターンを与えることが分かった。更に高感度化を計るためには、ポリイソイミドが300nm以上で透明であることが重要である。そこで、透明性が期待できるジアミンとして、3,3′-ジアミノジフェニルスルホンを用いてポリイソイミドを合成した。このポリマーとDHPとの組み合わせにより、予想通り、感度は45mJ/cm^2、γ値が2.4のポジ型レジストを開発できた。次に、アルカリ水溶液で現像可能なレジストの開発を行った。溶解抑制剤として、2,3,4-トリス|1-オキソ-2-ジアゾナフトキノン-4-スルホニルオキシ|ベンゾフェノンを使用したレジストでは、365(i-線)、436(g-線)に対する感度は300mJ/cm^2,250mJ/cm^2であり、γ値は、それぞれ4.6,2.4であった。このレジストを用いて、5μmの膜厚で2.5μmのパターンまで解像できることが分かった。更に、新規な光塩基発生剤として、N-{|(4,5-ジメトキシ-2-ニトロベンジル)オキシ|カルボニル} -2,6-ジメチルピペリジンを合成した。これと各種ポリイソイミドの組み合わせにより、化学増幅型感光性ポリイミドの合成に成功した。以上のように、平成6年度に計画したポリイミド前駆体としてのポリイソイミドを用いて、感光性ポリイミドを開発する研究目的はほぼ達成できた。
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