1.今回新規に購入したキャピラリー電気泳動装置の検出限界と分解能をチェックするために、各種低分子電解質の分離実験を行なった。電圧やキャピラリーの管径およびキャリヤー溶媒の選択によって、分解能が異なることが分かった。 2.高分子電解質の電荷量の差によって電気泳動移動度が異なるのであるが、高分子電解質の溶液の高い粘性が分離の障害となった。置換度の異なるカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(NaCMC)を試料に用いて実験したところ、分離が悪く広い範囲に溶出された。 そこで、NaCMCでオリゴマーまで解重合するため、HClにて処理したが、今度は分子量分布が広くなり、さらにGPCによる分取が必要となった。こうして得られた充分に低い分子量で、かつ狭い分布を持つ試料を用いると、置換度分布が巧く評価できることが分かった。 3.電解質モノマーと水溶性モノマーの共重合体についても、NaCMCと同様に共重合体組成の差によって、キャピラリー電気泳動による分離と組成分析が可能であった。 4.高分子電解質/界面活性剤複合体の測定は、イソプレンスルホン酸-co-アクリルアミド共重合体で測定中である。また、ポリスチレンスルホン酸塩の複合体では、やはり高粘性が分離を悪くしているので、低分子量の試料を現在合成している。 5.キャピラリー電気泳動装置の波長スキャン形濃度検出器は、溶出する試料の化学構造を反映しており、たいへん有用である。現在、蛍光測定のために励起光を入射するためのオプチカルファイバーを用いた照射装置の製作を行なっている。
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