研究課題/領域番号 |
05453150
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
福田 猛 京都大学, 化学研究所, 助教授 (00111972)
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研究分担者 |
呑海 信雄 京都大学, 化学研究所, 教務職員 (90237181)
辻井 敬亘 京都大学, 化学研究所, 助手 (00217308)
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キーワード | 化学ゲル / アンスリル基 / 光架橋 / 分子内架橋 / 分子間架橋 / 臨界架橋密度 / 濃度依存性 / 古典的ゲル化理論 |
研究概要 |
高分子液晶のゲル化過程を定量的に明らかにするためには、ゲル化に要する最小の架橋密度(L_<gel>)を高分子の濃度及び分子量、分子鎖の広がり等の分子特性の関数として正確に求める必要がある。本年度は、ポリマー側鎖の光官能性基であるアンスリル基の光二量化に伴う架橋反応についてこの問題を検討した。具体的には、光照射に伴うアンスリル基の現象を紫外吸収分光法で定量し、架橋数を見積った。また、分子量M_w、慣性半径<S^2>^<1/2>の変化を光散乱法により追跡した。低分子モデル系での光反応の速度理論的考察より判明したごくわずかな未知の副反応を考慮し、吸光度の変化から時間0での二量化の量子収率Φ_dを求めた。モデル化合物のΦ_dは濃度に比例して増大した。一方、ポリマー溶液のΦ_dは希薄領域では一定値をとり、重なり濃度(c^*)以上では次第に増大した。c^*以下ではほぼ分子内架橋のみが起こるのに対して、c^*以上では濃度の増大とともに分子間架橋の寄与が増大するためであると考えられる。また、約9wt%の溶液についてL_<gel>は約1個と見積られ、分子内架橋を考慮すると、Flory-Stockmayerのゲル化理論の予測値(L_<gel>=0.25)に近い。この結果は、ゲル化の臨界架橋密度が高分子濃度の関数であり、また高濃度域では古典理論が有効であることを示した物理架橋系に関する結論(前年度実績報告書参照)が化学架橋系においても成立することを示唆するものである。
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