休眠ホルモン誘導体の調製と誘導体の休眠活性 休眠ホルモン分子はN末端アミノ基の他にLys-ε-アミノ基を持つが、その両者を同時に誘導体化すると活性が著しく低下することを見いだした。そこで、新規にN末端アミノ基のみを修飾する手法を開発した。調製した各種誘導体の生物試験の結果、一部活性を低下させる誘導体もあったが、ほぼ活性を維持する誘導体もあることが判明し、活性発現には必ずしもN末端アミノ基が遊離である必要はないことがわかった。 卵内休眠卵内の休眠誘導活性物質 これまでの研究で、休眠誘導活性物質が休眠卵内にも存在することが判明している。そこで、休眠するように条件づけた卵巣内卵を採集し、この材料から休眠誘導活性物質を抽出できるか否か検討した。その結果、抽出可能な条件は見いだしたものの、抽出効率の再現性は良好でなかった。現在、生物検定法の検討を含めて、再現性のある抽出法開発を目指している。 雄蚕蛾頭部休眠誘導活性物質 雄蚕蛾頭部の有機溶媒抽出物には休眠誘導活性物質が存在することが知られていた。本研究では、この抽出物中の活性本体の解明をめざした。その結果、この画分には活性度の異なる複数の活性物質が存在することを見いだした。更に、このうちの活性の弱い一物質を単離する事に成功し、55残基からなる部分構造の解明に成功した。本ペプチドは親脂性アミノ酸に富み、多数の繰り返し構造を含む特異なものである。しかし、本部分構造は休眠ホルモン分子とは類似性がないため、いかにして休眠誘導能を発現するか、現在検討中である。
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