研究概要 |
平成6年度では前年度の試験で明らかとなった揮発性のN‐ニトロソアミンに対し,顕著な抗変異原性をもつLeuconostoc paramesenteroides(18株),Lactobacillus casei subsp.casei(5株),Lb.casei subsp.rhamnosus(1株),Streptococcus lactis sub‐sp.diacetylactis(3株),St.lactis(1株),St.cremoris(4株),St.facalis subsp.liquefaciens(5株)など40株を選び,これらの上記物質に対する抗変異原性について発酵乳を製造して試験した。抗変異原性試験にはSalmonella typhimurium TA 98から造成したストレプトマイシン依存性株(♯510)を用いた。その結果,供試の総ての菌株がN‐ニトロソジメチルアミン(NDMA)とN‐ニトロソジエチルアミン(NDEA)に対し抗変異原性があることを認めたが,N‐ニトロソピペリジンとN‐ニトロソピロリジンに対しては抗変異原性を示めさなかった。また,抗変異原性を示した乳酸菌のうちLeu.mesenteroides R‐62はNDEAに対してもっとも顕著な抗変異原性を示し,NDEAの持つ変異原性の約98%を消失させた。 以上の結果より,“dadihi"や“kefir"に存在する乳酸菌の中にはNDEAやNDMAに対し強い抗変異原性をもつ株がかなりあることが明らかとなり,今後それらの株を発酵乳の製造に利用した場合,発酵乳の機能性を向上させることが大いに期待される。
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