研究概要 |
本研究では、過去数年に亘るこの領域での研究実績を基盤として、新規微小管機能制御物質を微生物資源より探索し、作用機作を分子レベルで解析するとともに、天然物をリ-ドとした分子設計による新規活性物質の創製、および、これで得た知見を基盤として薬剤-チューブリン間の分子認識機構を解析することを目指し、以下の成果を得た。 ウスチロキシン類の単離と作用機構の解明:稲こうじよりウスチロキシンA-Dを単離し構造決定した。微小管蛋白重合阻害活性はIC_<50>値として、A(0.6μM),B(2.8μM),C(4.4μM),D(6.6μM)であり、チューブリン上の結合部位はリゾキシン/メイタンシン部位にあることを明らかにした。また、このタイプの抗生物質中で最小構造のウスチロキシンDが最小活性構造の解明に最適であるため、収量の多いAからの変換供給を試み、酢酸中PtO_2還元により約50%の収率で得た。 アザコンブレタスタチンの創製と活性:コルヒチン部位天然リガンド中最小で最強活性のコンブレタスタチンをリ-ドとしてアザ類縁体を合成し、抗チューブリン活性と細胞毒性を示す新規化合物を創製した。 キュラシンAの構造決定を活性類縁体開発のための合成研究:全く新規なタイプの有糸分裂阻害剤として海洋らん藻から単離されたキュラシンAについて、その立体構造確定と作用機構解明および生理活性類縁体の開発を目指して合成法を企画し、3ヵ所の不斉を含む部分構造の可能な立体異性体を全て合成した。これらから天然物の立体配置を推定し全合成への指針とするとともに、これらの活性の検定を行う。
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