研究概要 |
フリーデルクラフト反応における求電子活性種はアシルカチオンではなく、プロトン化アシルカチオンである。この結果は反応生成物速度および酸度効果から得られた。一方、HouBEN-HOESH反応はニトリルへのジプロトン化体が求電子活性種である。この結果はフエニルプチロニトリルの環化反応の速度論から確実に証明された。GATTERMAN反応も同様にN,N-ジプロトン化体が求電子活性種である。 N,N-ジヒドロキシイミニウムジカチオン,アリールオキソニウムジカチオン,アリールイミニウムジカチオンの関与を明らかにした。 強酸トリフルオルメタンスルホン酸とトリフルオル酢酸との混合物は,任意の酸度の溶液を与える。これをもって,反応速度に対する酸度の効果を知ることができる。この方法をもってキノリンN-オキシドのニトロ化反応を解析した。4-ニトロ体はフリーのキノリンNオキシドが反応基質となり,5-および8-ニトロ化は0-プロトン化体が基質である。 以上の結果は,従前の研究成果とあわせて,芳香族求電子置換反応におけるジカチオン性求電子活性種の関与の一般性を示したものである。
|