生産量が多く脂肪含量の異なる3種の養殖魚、すなわち脂肪含量の多いハマチ、中程度のマダイ、少ないヒラメを選び一般成分、テクスチャー特性の季節変化を天然魚と比較した。三枚おろしにして背肉を用い、一般成分として水分、タンパク質、脂質を常法で測定し、テクスチャー特性を針入度(針入度試験機)、硬さと凝集性(テクスチュロメータ)により評価した。 ヒラメは脂肪量が少なく、また脂質を縁側部分に蓄積し、背肉には少ないことから天然魚と一般成分に差はほとんど認められず、テクスチャー特性にもほとんど違いはなかった。しかし、ハマチとマダイにおいては天然魚に比べ養殖魚は脂質が多く、水分が少なく、それに伴って養殖魚の方が肉質は軟らかかった。試料数が養殖魚と天然魚それぞれ10尾前後であったため、季節変化の結論を出すには無理があるものの、本実験結果から養殖魚と天然魚の脂質量とテクスチャー特性の季節変化はほぼ同様であると思われる。
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