研究概要 |
長野県菅平において,農業系の物質(肥料と農薬)が施用・散布後にどのような経路をとうり,どのような形態で水系へ達するかを降雨流出過程と関連から明らかにすることを目的とした.今年度は,自記水位計および水温計の設置をおこない,連続的な流量,水温の変動を明らかにした. 降雨流出時に盆地の出口で自動サンプラーにより連続的な採水を行い,水質の変動を明らかにした.降雨流出に伴い,流量,濁度が急激に増加し,塩化物イオンと硫酸イオンの濃度は増加したが,硝酸イオンと重炭酸イオンの濃度は一時的に減少した.すべての陰イオンの濃度は降雨終了後の濃度が開始前の濃度を上回った.これらの変化パターンは既報のもの(主に森林地域)とは若干異なり,農地からの流出の特性あるいは河川周辺の湿地の影響によるものと考えられる.これらの点を,次年度では観測地点を工夫するとともに観測回数を増やし,詳細に検討する予定である.農薬については,採取した河川水,地下水,畑地土壌,河川底泥の試料を現在分析中である. 農薬については,土壌殺菌剤PCNBを主な対象としているが,ガスクロによる分析法のほか,液クロによる分析法についても検討し,かなりの精度で分析できることを示せた.この方法によりPCNB散布圃場の3ヶ所で土壌を採取し,分析し,生分解特性と土壌条件の関係を考察した.
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