研究課題/領域番号 |
05453199
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
数坂 昭夫 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (00002113)
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研究分担者 |
升田 真木彦 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (00001719)
藤田 正一 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (10143314)
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キーワード | 紫外光による環境毒性 / オゾン層 / 植物葉緑体 / クロロフィル類 / 一重項酸素 / クロロフィルの蛍光スペクトル / チラコイド膜の過酸化反応 / プロテアーゼの誘導 |
研究概要 |
オゾン層破壊に伴って地球表面に到着する紫外光の生態系へ与える影響が注目されている。植物が太陽光の可視部領域を利用して行っている光合成は、(1)光捕捉分子による光エネルギーの吸収、(2)吸収したエネルギーの反応中心分子の酸化還元、(3)それに伴う電子伝達と水の酸化およびNADP^+の還元、(4)CO_2の固定化、等の過程からなっている。そして、これらの過程の間でのバランス崩れたとき障害としてあらわれる。本研究では、特に紫外光の360nmを中心とするUV-A光のこれらの過程に与える影響を検討しようと試みた。 ホウレン草のチラコイド膜を単離し、それにUV-A光を照射しながら次の実験を行い、可視光を照射した時との結果と比較した。 1、チラコイド膜に含まれるクロロフィルの変化を可視スペクトルを用いて検討したところ、その量あるいはその吸収スペクトルには大きな変化は観測されなかった。 2、クロロフィルの蛍光スペクトルを測定したところスペクトルに変化が認められたが、現在、その測定法を含めた結果の検討を行っている。 3、一重項酸素を含む活性酸素種によるチラコイド膜の脂質過酸化反応を、チオバルビタール法で検討したところ、可視光およびUV-A光とも、脂質過酸化物の生成を認めたが、その量は少なく光源による違いはなかった。 4、チラコイド膜の一重項酸素生成能は、UV-A光の照射時間経過とともに減少し、UV-A光による障害が生じていることが分かった。しかし、この反応系にプロテアーゼインヒビターDFP(difloro-isopropyl-phosphate)を共存させることによってその障害が減少することが見いだされ、光照射による新しいプロテアーゼの誘導が示唆された。 ここでは、紫外光のなかでももしろ波長の長いUV-A光を用いた実験を行ったが、今後、短波長のUV-B光を含めた実験が必要と考えている。
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