研究課題/領域番号 |
05453203
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
岡畑 恵雄 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (80038017)
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研究分担者 |
江原 靖人 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (40251657)
佐藤 智典 東京工業大学, 生命理工学部, 助教授 (00162454)
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キーワード | 水晶発振子 / DNA / ハイブリダイゼーション |
研究概要 |
本研究の目的は、一本鎖DNAを固定化した水晶発振子を用いて水溶液中でターゲットDNAとの塩基対形成(Hybridaization)を振動数の経時変化から、定量的に評価することにある。 本年度は、以下の研究を行い、次のような実績を得た。 1)M13phageDNA(7250量体)のEcoRI認識部位(dGGGAATTCGT)と相補的な塩基配列をもつオリゴヌクレオチド(10量体)をDNA合成機で作製し、5′位末端にSH基を導入したプローブDNAを合成した。 2)合成したプローブDNAを9MHz,AT-cutの水晶発振子の金電極上にSH-金基板との相互作用を利用して固定化した。水晶発振子の振動数変化から求めた、NDAプローブの固定化量は50ngであった。 3)プローブ固定化水晶発振子を水溶液中に入れ、ターゲットDNAであるM13phageDNAを加えたところ、約50Hzの振動数が減少した。これはM13phageDNA鎖が発振子上のプローブDNAに結合して二重らせんを形成したこと表している。特異的な塩基配列を持たないターゲットDNAを加えた時には振動数が変化しなかった。 4)以上の結果は、DNA固定化水晶発振子を用いることにより、水溶液中の相補的なDNA鎖を特異的に検出できることを表している。 5)近年、遺伝子診断薬が注目され、ウイルスや細菌に感染しているかどうかを診断する方法として、ウイルスから一本鎖DNAを単離し、特定の塩基配列の有無を調べる方法が活発に研究されている。水晶発振子を用いる本方法はハイブリダイゼーション過程を振動数変化から重量変化として定量化できる特色があるので、今後遺伝子診断分野での新しい分析手段となることが期待されている。
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