研究概要 |
繊毛虫ブレファリズマは通常、無性生殖過程で分裂によって増殖しているが,非栄養培地条件下では接合型に変わり,細胞の接合,小核(生殖核)の減数分裂,受精,受精核の有系分裂等の一連の有性生殖過程を経て新世代に変わる。この接合に関するメカニズムを解明する目的で,ブレファリズマの接合型Iが分泌するガモン1(ブレファルモン)の構造決定に関する研究を行なった。具体的には,ブレファリズマ接合型Iを培養・単離し,貧栄養下におくことでガモン1の生産をうながした。このガモン1の単離を行ない,現在さらに精製を続けている。継代培養を続けるうちに,ガモン1の産出能が低下した。今後,構造解析を行なうためには,さらにガモン1が必要なので,新らしくガモン1を産出する株を入手し培養を続ける。 また,ガモン2(ブレファリズム)のレセプターに関する知見を得る目的で,ガモン2の光学活性体の合成を行なった。具体的には,インドール誘導体と光学活性の新電子剤をルイス酸存在下反応させalpha-ヒドロキシエステル体を得た。さらにインドール環を酸化開裂し,脱保護等の変換しガモン2の合成を完成した。この合成法にはまだ低率の段階があるので、現在この改良と,アリールスタナンと酸クロリドを用いるStilleカップリング法を利用する新規合成法を検討している。この合成法を確立し光アフィニティーラベル体の合成に応用する。
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