研究課題/領域番号 |
05453209
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 健治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (70011533)
|
研究分担者 |
村松 知成 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (70212256)
井上 英史 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (20184765)
田之倉 優 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (60136786)
|
キーワード | プロクターゼA / プロクターゼB / アスパラギン酸プロテアーゼ / 活性中心カルボキシル基 / 前駆体活性化 / 部位指定突然変異導入法 / NMR / X線結晶構造解析 |
研究概要 |
1.プロクターゼAについて種々の特異的化学修飾試薬を用いて機能残基の系統的検索を進め、アスパラギン酸プロテアーゼ特異的阻害剤とは反応しないこと、カルボキシル基の修飾のみが本酵素を特異的に不活性化することを明らかにした。さらに、水溶性カルボジイミドを用い、カルボキシル基の修飾条件と不活性化との化学量論的関係を解析し、数個の特異的カルボキシル基が活性発現に関与することを示唆する知見を得た。 2.プロクターゼAの前駆体を大腸菌で発現させることに成功し、この前駆体が酸性条件下で通常のアスパラギン酸プロテアーゼと同様に、自己触媒的に活性型に変換することを明らかにした。さらに、部位指定突然変異導入法により、主要カルボキシル基15個(7個のアスパラギン酸、8個のグルタミン酸)をそれぞれAsp→Asn、Glu→Glnに変換した酵素を調製した。これらの分析から、重鎖の14位のアスパラギン酸の変換でほとんど完全に活性が失なわれることが判明し、この残基が活性部位残基の一つである可能性が強く示唆された。また、重鎖の28位のアスパラギン酸の重要性も示唆された。さらに、重鎖24位グルタミンをグルタミン酸に変換すると酵素がほとんど完全に不活性化することから、この残基が活性部位近傍に存在し、何等かの形で活性発現に関与する可能性が推定された。 3.プロクターゼAの軽鎖のNMR解析により、プロトンシグナルの全帰属を行い、その溶液中での立体構造を推定した。また、2次元NMR法によるプロクターゼAの立体構造の解析を進めた。さらに、プロクターゼAの重原子置換結晶を調製し、X線結晶構造解析を進めた。 4.プロクターゼBの大腸菌における発現系および枯草菌(B.brevis)による発現・分泌系を確立した。発現されたプロクターゼB前駆体は、酸性条件下で、他のアスパラギン酸プロテアーゼの場合と同様に、自己触媒的に活性化し、少くとも2種の中間体を経て活性型に変換することが判明した。さらに、部位指定突然変異導入法により、プロペプチドの36位リシン残基がプロ体の構造維持に重要であること、32位アルギニンが活性化における切断部位の一つとして重要であることが示唆された。
|