病原性ウイルス遺伝子の系統樹解析と機能予測

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05454006
• 研究機関: 国立遺伝学研究所
• 研究代表者: 五條堀 孝 国立遺伝学研究所, 遺伝情報研究センター, 教授 (50162136)
• 研究分担者: 鵜川 義弘 国立遺伝学研究所, 農業生物資源研究所・遺伝資源第2部, 科長 (20232803) ; 池尾 一穂 国立遺伝学研究所, 遺伝情報研究センター, 助手 (20249949) ; 森山 悦子 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 助手 (20210198) ; 館野 義雄 国立遺伝学研究所, 遺伝実験動物保存研究センター, 助教授 (00202424)
• キーワード: 病原性ウイルス / C型肝炎ウイルス / インフルエンザA型ウイルス / 系統樹解析 / 塩基置換速度 / 遺伝子機能 / オーバーラップ遺伝子 / 適応的進化

研究概要

病原性ウイルス遺伝子の進化的描像を明らかにするために、系統樹解析を行なうと共に、塩基配列データの比較から遺伝子機能の予測を行なう研究を遂行した。特に、ヒトC型肝炎ウイルスの利用可能な塩基配列を収集し、系統樹を作成すると共にその塩基置換速度を推定した。その結果、C型肝炎ウイルスの塩基置換速度はその宿主DNAに比べて約100万倍も高いことを明らかにした。また、C型肝炎ウイルスのコア遺伝子における同義置換速度の減少から、そこにはオーバーラップ遺伝子が存在する可能性を論理的に示した。このウイルスゲノムにおけるオーバーラップ遺伝子の予測は、今まで世界のどこの研究室でも行なわれたことのないもので、本研究の一つの大きな成果と言える。また、ヒトインフルエンザA型ウイルスでは、ヘマグルチニン遺伝子全体でみると、遺伝子機能保全に基づく保守的な進化を行なっているのに対し、抗原部位では適応的進化が起こっている可能性を強く指摘した。おそらく、このヘマグルケニン遺伝子の機能から考えて、宿主の免疫系における進化的淘汰圧に対してウイルスの進化的適応的戦略が抗原部位のみにかかっているものと考えられる。

研究成果

• [文献書誌] Ina.Y: "Reduction of syno〓〓〓 sub〓titutic〓s in the core protein gene of hepatitio C virus." J.Mol.Evol.38. 50-56 (1994)
• [文献書誌] Miura,T.: "Phulogenetic Subtypeo of human T‐lymohotropic virus type 1 and their relaticno to the an Hhropological background." Roc.Natl.Acad.Sci U.S.A.91. 1124-1127 (1994)
• [文献書誌] Ina,Y: "Statiotical analysis of rucleotide Seguences of hemaggiutinin gene of human influenza A viruses." Proc Natl.Acad.Sci.U.S.A.(印刷中).
• [文献書誌] Mizokani,M: "Molecula〓 evouitionary:its appliciaticn to HCV" Gasnoenterology. (印刷中).
• [文献書誌] Gojobori,T: "Evowtion of pathogenic viruses with special refecenca to the vates of synorymsus and nonsynorymous substitutions" Jap.J.Genet. (印刷中).
• [文献書誌] Honda.T: "Fathel‐to‐mothel‐to‐infant transmission of HIV-1" J,Virology. (印刷中).
• [文献書誌] Gojobori,T: "Human Polution Genetics(Ed,P.Maiumder)" Plenun Publishing Corp, 8 (1993)