研究概要 |
ホウレンソウ培養細胞を2mM ATPを含む抽出液で磨砕すると,その抽出液中に20Sプロテアソームより分子量の大きなSuc-LLVYMCA分解活性を有する26Sプロテアソームが得られた。この26SプロテアソームはATPに依存してユビキチン化125I-リゾチームを分解することが認められた。そこで、ホウレンソウ緑葉100gから、DEAE-カラムクロマトグラフィー、バイオゲルA1.5mによるゲル濾過およびグリセロール密度勾配遠心法により、26Sプロテアソームを単離精製し、約0.6mgの精製標品を得た。得られた精製標品は非変性下での電気泳動(PAGE)では2本のバンド(26Sα、26Sβ)が観察された。この26Sαおよび26Sβは共に活性染色され、さらに抗20Sプロテアソームとも反応した。さらにSDSPAGEでは25-35kDaの20Sプロテアソームとサブユニットバンドに加えて、39-110kDaに約15本の制御因子群サブユニットバンドが観察された。 精製26SプロテアソームはATPase活性を有し、ATP依存的にユビキチン化125I-リゾチームを分解すると共に、ATP依存的に、ユビキチン複鎖を加水分解するイソペプチダーゼ活性をも有していた。また、酢酸ウランで負染色した26Sプロテアソームの電子顕微鏡像を画像解析することにより、26Sプロテアソームは20Sプロテアソームの4層の両側にV字型の制御因子群が点対称的に会合したダンベル状の構造をとることが明かとなった。この構造は他の真核生物であるアフリカツメガエルやラットのそれらと同様である。
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