研究課題/領域番号 |
05454016
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
和田 敬四郎 金沢大学, 理学部, 教授 (70028174)
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研究分担者 |
山口 和男 金沢大学, 遺伝子実験施設, 教授 (00019879)
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キーワード | プラスチド / Fd / FNR / アイソザイム / モヤシマメ / 非光合成的機能 / Root型FNR / Leaf型FNR |
研究概要 |
本年度は、植物の根と葉で特異的に発現しているFNRに対する特異的な抗体を用いて、モヤシマメの発芽数日後の、若い植物体の葉緑体中にもFNRのアイソザイムが存在することを明らかにした。 若い植物体を用いてFNRを調製し、SDS PAGEで分離し、根と葉のFNR特異抗体でウエスタン・ブロットを行うと、やや分子量の大きなroot型FNRとやや分子量の小さなleaf型FNRとが検出され、成熟した葉では見られなかったroot型FNRが、若い植物体には存在することが明らかとなった。さらにこれらの植物から葉緑体を調製し、同様に調べたところ、葉全体での結果と同様であった。それらのN 末端アミノ酸配列を決定し、他のFNRのものと比較した。葉緑体から調製したroot型FNRも他の植物のroot型FNRと高いホモロジーが見られた。またインタクトな葉緑体を温和な条件で破砕し、チラコイド成分とストロマ成分に分けて調べたところ、leaf型FNRは比較的強くチラコイド膜上に結合しており、root型FNRはほとんど膜には結合していないかまたは結合していたとしても非常に弱く結合していると判断された。さらに再構成実験から、root型FNRっはチラコイド膜にはほとんど結合しないことが明らかになった。葉緑体のroot型FNRは光照射条件で著しく減少し、暗条件で増加することから、非光合成的機能における電子伝達に関与しているらしい。 これらの結果は葉緑体においても、ある種の特別な条件下では非光合成的プラスチドの機能を発現し得ることが強く示唆され、葉緑体から他の非光合成的プラスチドへの進化過程を研究する糸口がつかめたと言える。
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