研究概要 |
1.抗体の作製…‥エリサン前胸腺刺激ホルモン(PTTH)様ペプチドをその遺伝子から推定し,N末端17アミノ酸残基相当合成ペプチドに対する単クロン抗体(PTTH抗体),及び遺伝子から推定したエリサンボンビキシン様ペプチド-A1,B1の化学合成品に対する単クロン抗体(ボンビキシン抗体)を作製した。 2.免疫組織化学によるホルモン産生細胞の同定…‥PTTH抗体により,エリサン脳側方部の2対の神経分泌細胞が検出された。その軸索末端はアラタ体内部に分布していた。ボンビキシン抗体はエリサン脳中央部の16対の神経分泌細胞と反応した。その軸索末端は,アラタ体縁辺部に分布していた。 3.イムノブロッティングによるホルモン分子の同定…‥エリサン脳抽出液のゲル瀘過分画を,上記抗体によるイムノブロッティングで反応を検定した。PTTH抗体は30kDaの分画と,ボンビキシン抗体は5kDa分画と反応した。 4.カイコにおける既知の事実との比較…‥上記の結果は,カイコにおける結果とおおむね一致した。ただ,ボンビキシン細胞数がカイコで4対,エリサンで16対であることが大きく異っていた。 5.残された課題…‥両抗体に反応するペプチドの,PTTHとしての生物活性の検定はまだ終了していない。当初にたてた仮説,エリサンには大小2種のPTTHが存在することに対する実証が残された課題である。
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