• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1994 年度 実績報告書

作物におけるヒートストレスの実態とその回避機構に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 05454043
研究機関北海道大学

研究代表者

中世古 公男  北海道大学, 農学部, 教授 (80001452)

研究分担者 佐藤 肇  北海道教育大学, 助教授 (20091530)
岩間 和人  北海道大学, 農学部, 助教授 (70144219)
キーワード作物 / ヒートストレス / 赤外線放射温度計 / 葉温 / 水分ストレス / 根系 / 蒸散速度 / 葉の調位運動
研究概要

作物は常に放射熱によるヒートストレスにさらされて生育しているが、その実態や回避機構については不明な点が多い。本研究は、赤外線放射温度計サーモトレーサーを用いて各種作物体における温度変化を視覚的にリアルタイムでとらえ、下記の知見を得た。
(1)各器官における体表面温度の変化と気孔の閉開運動および蒸散速度との関係:ポットに栽培された春播コムギ品種につて、葉身、葉鞘、稈および穂の表面温度、気孔開度、蒸散速度、さらびに光合成速度の日変化を測定した。葉鞘、稈にも葉身と同様、気孔列が分布しているほか、内外穎にも気孔の分布が観察された。これらの気孔は日の出とともに開き始め、日没前から閉じ始めるが、日中における気孔開度の変化は比較的小さく、各器官の表面温度もほぼ安定して推移した。しかし、蒸散速度および光合成速度は、日射の変化対応して変化していることが明らかになった。
(2)土壌水分条件と蒸散速度および葉温との関係:根量の異なるバレイショ2品種を乾燥と適湿の土壌水分条件下で圃場に栽培し、葉温、蒸散速度、日射強度および相対湿度を測定した。蒸散速度は生育時期や環境条件によって大きく変化したが、いずれの土壌水分条件下でも日射強度とは正の、相対湿度とは負の相関関係を示した。しかし、蒸散速度と葉温の関係は、土壌水分条件によって異なり、潅水区では正の相関を示したが、無潅水区では一定の関係が認められなかった。このことから、乾燥条件下では葉での蒸散が抑制されるため、葉温が制御できなくなることが示唆された。
(3)葉の調位運動が葉面温度に及ぼす影響:豆科植物は、一般に太陽高度の変化に対応して葉面傾斜角度を変化させる特性(調位運動)を有している。インゲンマメについて、葉の傾斜角度と表面温度の日変化を調査したところ、調位運動は葉温上昇を回避する機構の一つであることが確認された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Takahashi,T.: "Seasonal Changes in Distribution of Intercepted Photosynthetically Active Radiation for Layer and Dry Matter Production in Spring Wheat Canopy" Japanese J.Crop Sci.62. 313-318 (1993)

  • [文献書誌] Iwama,K: "The Diurnal Change in Water Absorption Rate of Potatoes at Different Soil Water Conditions." Proceedings of International Symposium on Soil Moisture Control in Arid to Semi-Arid Region for Agro-Forestry.In Press (1994)

  • [文献書誌] 川嶋浩樹: "バレイショにおける気孔抵抗の生育にともなう推移" 育種・作物学会北海道談話会会報. 34. 106-107 (1993)

  • [文献書誌] 川嶋浩樹: "根量の異なるバレイショ品種間における葉の拡散抵抗の比較.-異なる葉位および葉の表面と裏面における拡散抵抗の生育に伴う推移-" 日本作物学会紀事. 63(別1). 240-241 (1994)

  • [文献書誌] 佐藤 肇: "インゲンマメの葉の調位運動 (10)緑色光の効果" 日本作物学会紀事. 63(別1). 170-171 (1994)

  • [文献書誌] Sato,H.: "Studies on leaf orientation movement in Kidney beans (Phaseolus vulgaris L.)IV.Effect of water spray on leaflet inclination." Japanese J.Crop Sci.62. 282-287 (1993)

URL: 

公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi