研究課題/領域番号 |
05454050
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
田中 修 甲南大学, 理学部, 教授 (90167495)
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研究分担者 |
西村 久雄 愛知みずほ大学, 人間科学部, 助教授 (70065572)
高橋 正昭 甲南大学, 理学部, 教授 (30027198)
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キーワード | 花成 / 窒素欠乏 / リジン / アオウキクサ / ダイズ / アズキ |
研究概要 |
ウキクサで得られた知見に基づき、イネ、ダイズ、アズキ、ジャガイモ、トウモロコシ等の体内に、分解されるとウキクサの花成を誘導する高分子の物質が存在するかを調べた。その結果、これらの栽培作物の体内には花成誘導物質の前駆体物質(タンパク質性)が存在し、それが分解されるような条件(窒素欠乏状態)で、花成誘導活性を持つ物質が生成し、花成が誘導されることがほぼ確認された。これらの結果は、筆者らがウキクサで得てきた知見と一致しており、これらの植物の花成誘導機構はウキクサと共通である可能性が考えられる。花成誘導活性をもつ物質の細胞内分布を知るため、購入した分離用小型超遠心機を用いて細胞を分画した結果、葉緑体に局在するとを示唆する結果を得た。また、このタンパク質性物質の有効な分解産物は、lysineあるいはlysine hydroxamateである可能性を示唆する結果も得ている。植物が窒素欠乏状態になると、この前駆体タンパク質が分解し、分解産物であるlysineあるいはlysine hydroxamateが増加する傾向も示されている。また、この物質をさらに活性化する機構が存在することが示唆され、それについて検討を始めている。以上の結果は、アオウキクサをbioassay植物に使って得たものである。lysine hydroxamateあるいはそれがさらに活性化された物質が、栽培作物の花成を誘導できるかどうかを調べるの今後の問題であり、そのbioassay系の確立を急いでいる。現在までに、ダイズ、アズキなどには、窒素欠乏状態で花成が誘導できる系があることがわかってきており、これを利用してbioassay系を確立できるものと考えている。
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