本研究の目的は、糖濃度の増加をもたらす機構として、生長期間に蓄積した多糖が追熟期間に加水分解して少糖濃度が増加する一方、通道組織の機能低下による水の流入低下が生じるという、2つの条件が満たされるためではないかと考え、実験を行った。本年度は、キウイフルーツにおける果実、葉の水分含量、水ポテンシャルの測定を重点的に行った。 (1)果実の発育段階で数回、その水ポテンシャルの日変化を調査し、発育にともない日変化のパターンが異なることを見いだした。また、その変化を、果実のデンプン蓄積量の増加、デンプンの加水分解と関連させながら、検討した。 (2)果実肥大が最大に達した頃に、早朝の水ポテンシャルに異常な変化が認められた。この水ポテンシャルの変化のあとに、デンプンの加水分解が急速になった。この時期には、早朝気温が10Cに初めて低下していることもあり、これらの要因の因果関係は明らかではなかった。 (3)樹体からの水の供給が完全に遮断されたことを想定して、収穫してその後のデンプンの加水分解を調べた。加水分解の程度は、収穫した果実の発育段階によって異なり、発育が進むほど、分解しやすいことが認められた。
|