研究概要 |
1.キクとトルコギキョウの作型別養分吸収曲線の作成 湛液連続通気式の養液栽培において,窒素濃度を100ppmの一定に保ちながら栽培を行ない,1週間毎の窒素吸収量を測定して窒素吸収曲線を作成した.この際,植物体の生体重を1週間毎に非破壊で測定して,生長曲線を作成した.これらの曲線は2次〜4次の多項式に回帰させたものであり,相関係数が最も高くなる次数の式を選んだ.また,窒素以外の多量要素(P,K,Ca,Mg)について培養液の無機分析を行ない,それらの総吸収量の窒素吸収量に対する比を明らかにした.対象とした品種と作型は次のとおり.キク:‘精雲'(7月切り),‘秀芳の力'(2月切り).トルコギキョウ:‘若紫'‘都紫'(7月切り,1月切り,5月切り). 2.キクの施肥曲線の作成とNFT方式の養液栽培による検証栽培 昨年までに明らかにした,‘秀芳の力'11月切りの窒素吸収曲線に基づいて,生長曲線および切り花品質との関連を検討しながら修正を行ない,施肥曲線を作成した。この施肥曲線は3次多項式であり,吸収曲線を約20%下方へ引き下げた形となった.そして,これに基づいてNFT栽培を行なったところ,花序と茎葉のバランスの取れた切り花が生産でき,花卉市場において高品価値の高い切り花であるという評価を得た. 3.種類別・作型別施肥曲線の作成と自動施肥装置の試作 キク(7月切り,2月切り)とトルコギキョウ(5月切り,8月切り,1月切り)の窒素吸収曲線に基づいて施肥曲線を作成した.また,この曲線の数式を入力することで,パソコンによって自動的に施肥できるようにした装置を試作し,ソフトの開発およびパソコン出力装置とこれに連動した液肥送入用定量ポンプの調整を行なった.
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