今年度は非標的昆虫のゲンジボタル幼虫を用いて有機リン剤のフェニトロチオン、カーバメイト剤のBPMCそしてピレスロイド剤のエトフェンプロックスに対する抵抗性の有無を調べた。ゲンジボタルは栃木県および神奈川県下で採集された2集団を用いた。フェニトロチオン処理区での72時間後の栃木県産幼虫の死亡率は、0.1ppmで1.7%であり、神奈川県産幼虫では0.05ppmで100%であった。BPMCでの168時間後のLD50値の比較から、栃木県産は神奈川県産よりも約10倍の抵抗性があると考えられた。同様に、エトフェンプロックスに対しても栃木県産幼虫は抵抗性があった。以上から非標的昆虫も標的昆虫と同様に殺虫剤に対して抵抗性を発達させていることが明らかになった。続いて、有機リン剤に抵抗性を持つ第三夢の島系イエバエを用いて光学活性型有機リン剤ピラクロホスと幼若ホルモン様殺虫剤ピリプロキシフェンに対する抵抗性系統を室内選抜し、それぞれ700倍、680倍の抵抗性を示す系統を得た。これらの系統での抵抗性遺伝子の連鎖群解析から、ピラクロホス抵抗性遺伝子は第2、第4、第5染色体上に存在し、ピリプロキシフェン抵抗性遺伝子は第2染色体上に存在することが明らかにされた。さらにイミダクロプリドのワモンゴキブリにおける作用特性について電気生理学的解析を行ない、中毒症状と腹部神経索に対する作用性から、同薬剤はカルタップと異なるニコチンと類似した作用性を持つことが示唆された。また生物学的作用部位がシナップス部であると推察された。
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