研究概要 |
棲息地域が異なる5集団のゲンジボタル幼虫及び3集団のヘイケボタル幼虫のfenitrothion,BPMC,ethofenproxに対する感受性を比較した。栃木県と神奈川県のゲンジでのfenitrothionの24時間後のLC_<50>は0.5mg/l以下、大阪府と兵庫県の幼虫では2〜1mg/lであり、また大阪府の2集団は兵庫県の集団よりも1.5倍〜2.0倍の抵抗性があった。BPMCでもほぼ同様の結果であり、ethofenproxに対しては大阪府の1集団は神奈川県の集団よりも約50倍高い抵抗性を示した。ヘイケボタルでのこれり3種の薬剤のLC_<50>はゲンジのそれと近似していた。また岐阜県と茨城県産のヘイケボタル成虫のエステラーゼ活性に著しい差異があった。以上から非標的昆虫であるホタルも標的昆虫と同様に殺虫剤に対して抵抗性を発達させていることが判明した。 標的昆虫での研究では、室内選抜で得たpyraclofos抵抗性イエバエ(抵抗性比700)、pyriproxyfen抵抗性イエバエ(同比680)さらにpermethrin抵抗性ネッタイイエカを用いて、これらの系統の抵抗性機構を遺伝学的及び生化学的に解析した。遺伝子連鎖群解析の結果、pyraclofos抵抗性遺伝子は第2、第4、第5染色体、pyriproxyfen 抵抗性に関する主遺伝子は第2染色体、さらに補助的な遺伝子が第1、第3、第5染色体に存在することが判明した。またこの主遺伝子はP450酸化酵素と関係があることも示唆された。共力剤による阻害実験などから、ネッタイイエカのpyrethroid抵抗性にはkdr因子とP450酸化酵素の両方が機能することが明らかにされた。methomyl抵抗性のハスモンヨトウ個体群の野外動態を調べた結果、抵抗性は不安定であり、個体群間での感受性の変動が大きいことが明らかになった。またimidaclopridのゴキブリにおける作用性の電気生理学的研究では、同薬剤はニコチンと類似の作用特性があり作用部位が神経シナップス部であるとが推察された。
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